AI考

今月の「日本の眼科 P18~46」で「眼科医療におけるAI」が取り上げられています。

AIが判定可能な疾患

対象疾患/領域 詳細
糖尿病網膜症 IDx-DR(LumineticsCore):眼底カラー写真を深層学習で解析し、医師の確認不要で診断可能な自律型AI。2018年にFDA承認を取得。感度・特異度ともに0.9超。
糖尿病網膜症 EyeArt(Eyenuk社):2020年代に米国内の多数の一次医療施設に配置された眼底写真AIスクリーニングシステム。
糖尿病網膜症 AEYE Health:スマートフォン対応の軽量AIモデル。遠隔スクリーニング用途で、モバイル端末上で動作可能。
糖尿病網膜症 RA-100(眼底画像AI診断支援プログラム):国立情報学研究所が開発したAIエンジンを搭載。検診での眼底写真判定業務の負担軽減・読影時間短縮に貢献。
OCT画像解析 各社OCT搭載AI:取得画像のノイズ除去、網膜・脈絡膜の各層を自動認識(セグメンテーション)し、診断用の数値化を実現。疾患スクリーニングやリスク予測もバックグラウンドで実行。
角膜疾患 CorneAI / CorneAlex(G-Data):前眼部カラー写真を読み込み、9つのカテゴリー(正常、感染性角膜浸潤、角膜瘢痕、急性緑内障発作等)に対して尤度を表示。感染症の場合は病原体の推測も行う。
角膜疾患(病原体分類) 感染性角膜炎AI(鳥取大学等):スリットランプ写真から細菌・真菌・アカントアメーバ・単純ヘルペスウイルスの4種に自動分類。正診率90.7〜97.9%。
円錐角膜 Klyce/Maeda index等:角膜形状データを機械学習で解析。1990年代から開発が続き、プラチド型トポグラファーに搭載。近年は前眼部OCTを用いた進行予測プログラムも報告。
緑内障(視野検査) GAP / TEMPO / MRF / SITA等:視野検査のAI最適化。測定アルゴリズムの短縮、ノイズ補正、視線追跡による固視不良対策、進行パターン評価。iPadでの視野検査も実現。
緑内障(構造解析) OCT搭載AI(各社):神経線維層厚・BMO-MRW等の自動計測。網膜各層の抽出、浮腫検出、視神経乳頭辺縁の決定。OCTAでは血管自動抽出・血流の3次元解析にもAIを活用。
緑内障(視野推定) OCTからの視野推定AI(Koyamaら):3D畳み込みニューラルネットワークによりOCT測定値から視野を推定。緑内障以外の眼合併症例にも対応可能と報告。
白内障手術(IOL度数計算) Hill-RBF式 / Kane式 / ZEISS AI IOL:AIベースの眼内レンズ度数計算式。極端な眼軸長、不正角膜形状、屈折矯正手術後などの困難症例でも高精度な結果を実現。
眼形成外科 手術シミュレーションAI:手術前に眼瞼の形態を客観的かつ自動的に計測。顔の動きに影響されない正確なデータを提供し、手術計画の立案と成功率向上に貢献。
オキュロミクス 網膜画像→全身リスク推定AI:眼底画像から年齢・性別・血圧・HbA1c・コレステロール等10の循環器リスク因子を推定し、5年間の循環器疾患リスクを予測するモデル。
隅角評価 前眼部OCT AI:前眼部OCTデータの深層学習解析により原発閉塞隅角症を検出。AUC 0.96と極めて高い精度。強膜岬のセグメンテーション精度向上も報告。
白内障(前眼部OCT) 水晶体混濁検出AI:前眼部OCT画像から核硬度・皮質混濁度を自動算出。将来的に白内障術前検査のスタンダードとなる可能性が指摘されている。
眼瞼腫瘍 眼瞼腫瘍分類AI(Liら):デジタルカメラで撮影した眼瞼の写真から悪性腫瘍と良性腫瘍を分類。AUC 89.9〜95.5%で上級眼科医に匹敵する分類性能。
アレルギー性結膜炎 結膜炎AI(Yoneharaら):細隙灯顕微鏡画像から12の臨床所見(充血、腫脹、濾胞、乳頭等)を自動抽出し、疾患分類を実施。精度は眼科専門医を上回ると報告。
視覚障害者支援 Seeing AI(Microsoft):カメラ映像をリアルタイム解析し、テキスト読み上げ、人物認識、風景・物体説明、通貨識別、色・明るさ・距離の音声通知を提供。

 

個人的感想

  • 的確な診断を下せるんなら、的確な治療まで提示してくれたまえ。もう、医者はいらん!(1)
  • 乳頭所見や視野から責任病巣について、どーのこーのと教授が医局会で長口舌。。みたいなのも、簡単に代替できる気がする。
  • 開業医としては、いまだ紙の提出物は、スキャン画像から属性を取り出してくれんかな?

個人情報をChatGPTにさらすわけにはいかんので、会員限定で使える生成AIがあればいい👍 🙏
☞米では、UpToDate Expert AIpdateAI , doximityClinicalKeyAI なるサービスがあるらしい。


(1)とはいえ、IT業でなくてよかったかも、である。
 AIが書くコードは、神コードということくらいは、分かるのである。

まったく新しいドライアイ治療薬、アバレプトが2026年春ごろ登場予定です。

従来は、ジクアスLX一択という感じでしたが、久しぶりに新薬がでる予定です。

アバレプト点眼液は、TRPV1(トリップ・ブイワン)という不快感・痛覚レセプターの遮断薬。
インターロイキンとかの炎症サーキットをブロックするのではなく、レセプターそのものをブロックするらしい。

面白い副作用として「冷たく感じる」があり、これはTRPV1が熱を感じるレセプターであることによる。
メントールみたいな作用が期待出来ていいんでは?とも思う。

ジクアス+ヒアレイン+(ステロイド)で症状が取れない場面で使えるだろう。何なら標準的治療になるかもしれない。
ただ、涙液層そのものを改善せずに、痛みをブロックするという点はどうなのかな~

従来点眼薬との比較
比較項目 従来の治療薬 アバレプト
主な目的 涙の量を増やす、傷を治す、炎症を抑える 痛み、しみる感じ、不快感の緩和
ターゲット 涙液層、角膜上皮、炎症細胞 知覚神経(TRPV1受容体)
適したタイプ 涙が足りない、傷がある 傷は軽度だが「痛みが強い」「不快感が取れない」

 

薬価比較
系統(作用機序) 先発/後発 製品名 製造販売会社 規格 1本価格
(100%)
3割負担
(概算)
① ヒアルロン酸系
(水分保持・傷の修復)
先発 ヒアレイン点眼液0.1% 参天製薬 5mL 約210円 約63円
後発 ヒアルロン酸Na 0.1%「TS」等 テイカ製薬 等 5mL 約93円 約28円
先発 ヒアレイン点眼液0.3% 参天製薬 5mL 約324円 約97円
後発 ヒアルロン酸Na 0.3%「日点」等 ロートニッテン等 5mL 約104円 約31円
② ジクアス系
(涙・ムチンの分泌)
先発 ジクアス点眼液3% 参天製薬 5mL 約344円 約103円
後発 ジクアホソルNa 3%「ニットー」等 東亜薬品 等 5mL 約187円 約56円
先発 ジクアスLX点眼液3% 参天製薬 5mL 約771円 約231円
③ レバミピド系
(ムチン増加・粘膜修復)
先発 ムコスタ点眼液UD 2% 大塚製薬 0.35mL 約16円

約229円(5ml換算)

約5円

約69円(5ml換算)

後発 レバミピド点眼液2%「参天」 参天製薬 5mL 約433円 約130円
④ TRPV1拮抗薬
(知覚神経の過敏抑制)
先発 アバレプト懸濁性点眼液0.3% 千寿製薬 5mL 未定 未定

千寿のMRさん曰く

「暴れ馬の年ですから暴れレプト」と覚えてください。🐎🔥🐎🔥
薬価は「ジクアスLXと同程度ではないか?」

PanOptix Proが2026年春ごろの発売予定です。

PanOptix ProはPanOptixを進化バージョンで、エネルギーロスを12%→6%にまで改善ということです。
その結果「回折格子そのものの物理的なステップ構造(高さ・配置)を見直して、効率よく光を使うように改善した」「コントラスト感や視覚の鮮明さが向上した」

ENLIGHTEN技術 も、ENLIGHTEN NXT技術 に改名されるらしい。

 


EDoF系のOddyseyと同レベルのエネルギーロスとなったといえる😲

 

HOYAから近視抑制眼鏡が発売されるようです。

以前、 近視進行を遅らせるDIMSレンズ眼鏡の効果 でご紹介した際は、「日本国未承認及び今後の展開が未定で、資料提示は出来ません」だったが、MiYOSMART という名称で近日発売されるらしい。 cf.  近視抑制治療の最前線

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ZeissのMyoCareとは異なるコンセプト。

現下、各眼鏡店で研修中ということなので、詳細わかれば追加報告します。

 


本年も🙇🏻🙇!

↑南アフリカ🐴

グラナテックの角膜内皮保護作用

最近の白内障手術は、超音波時間は短いし、かつ、内皮保護の粘弾物質もふんだん使うしで創傷burnは発生しない。

しかし、難症例で遷延化すると、、起こる。
術後にグラナテック(リパスジル、ROCK阻害薬)を使用すると、内皮保護に役立つと聴き調べた。

上記論文を読んだ感じでは、1日2~3回の点眼を半年くらいまで続けることによって、有意に内皮減少を防げるようです。

過熟白内障の手術

過熟白内障の手術でも、真白白内障はまだ行けるが、褐色白内障は危険寄りの困難症例だ。

とことん手術ためらったあげく、やっぱりやろかな~、、となったような人に見られる。

なぜ難しいかというと、褐色白内障は後極部がもちのように粘着していて、chopがきかない。devide&conquerで少しづつ削ってなお、粘着したままである。しかも、後嚢が脆弱で、超音波時間はマシマシになる。

↑の CataractCoach 1382: hyper mature cataract MSICS みたくECCE風味で処理したほうがいいのかもしれん。ビデオ内では「シンスキーフックで娩出時の内皮を保護」といってる。
ただ、manual small incision cataract surgeryというが、small incisionにみえんなー。

 

↑の Mature & hypermature cataract surgery by Phacosection. Safe surgery in high myopia. では、核を半分に割ってviscoextraction気味に核娩出をおこなっっている。
ただ、Safe surgeryというが、safeにみえんなー。

パターン光凝固装置を導入しました。

従来の単発照射とちがって、連続パターン照射ができる装置です。

 

 

  • 現在のシングルショット条件:200mw、200μ、200mmSec=40mJ

    パターンショット条件:300mw(~400mw)、200μ、20mmSec × 9spots =54mJ
  • 照射パワーが同じでも、各照射時間は短く患者さんの痛みが激減する、凝固班も淡い。
  • 照射間隔も勘案し、重症例→0.5spot間隔、通常例→0.75spot間隔。

照射班のクリーピングがおこりにくく、クリーンな照射痕となる🙂

 

緑内障新規治療薬のセタネオについて

参天製薬からセタネオという新薬が発売されました。

エイベリスの進化バージョンかと思いきや、全く違くて

エイベリス セタネオ
受容体 非プロスタノイド EP2受容体作動薬 プロスタグランジン系 FP+EP3デュアル作動薬
IOL眼 禁忌(添付文書明記) 慎重投与(禁忌ではない)
CME(黄斑浮腫)リスク 比較的高い(報告あり) PG系としては低い(従来PG同等)

PAPは従来並みに発生するが、DEUSについては発売間もないため未確認らしい。が、当然発生するやろ。


従来のプロスタグランジン系薬剤と比較すると

効果順位 一般名 先発商品名(メーカー) 平均眼圧下降率 主な受容体/作用機序 主な特徴・備考
1位 ビマトプロスト ルミガン®(アッヴィ/旧アラガン) 約30〜35% FP受容体+EP1/EP3作動 最強クラス。PAP、DEUS多し。
2位 タフルプロスト タプロス®(参天製薬) 約30% FP受容体選択的作動 安定した降圧効果。防腐剤無添加タイプあり。PAP、DEUS少。
3位 セペタプロスト セタネオ®(参天製薬) 約28〜32% FP+EP3デュアル作動 新世代PG。主+副流出路に作用。副作用はPG系中間程度。
4位 ラタノプロスト キサラタン®(ファイザー) 約27〜30% FP受容体作動 初代PG。安定性・コスパ・実績No.1。ジェネリック多数。
5位 トラボプロスト トラバタンズ®(ノバルティス/旧アルコン) 約27〜30% FP受容体作動 ラタノ系に類似、やや強め。PAPが比較的多い。
6位 オミデネパグ イソプロピル エイベリス®(千寿製薬) 約25〜28% EP2受容体作動(非プロスタノイド) 色素沈着少ない美容型。IOL眼禁忌。角膜障害リスクあり。
7位 ウノプロストン イソプロピル レスキュラ®(大塚製薬) 約15〜20% EP系作用(弱) 降圧弱め。補助的薬剤。現在は使用頻度少ない。

EP3作動薬としては、ルミガンのEP3作用を進化させた薬剤といえる。


MRさん「夜間眼圧を下げることができるのがウリです!」

お伺い立てたところ、、

  • ✅「就寝中の眼圧も下がるか?」→ はい、下がるというデータはある。24時間型の薬として設計・評価されている。Santen+2PubMed+2

  • ✅「夜間に特に強いのか?」→ ラタノプロストより夜間IOPが低い傾向は出ているが、差は統計的に決定打と言えるほどではない。ResearchGate

  • ✅「臨床的な意味」→ 夜間高眼圧のコントロールを課題にしている患者さん(特に進行例や視野がまだ悪化している例)には、セタネオは“次の候補”として議論されている。

<結論>

「ルミガンほど効かさなくてもよい。PAP・DUES気になる。眼内レンズ入れてる。微妙に視野進行がある」場合が適応かな。

「ロービジョンケアーロービジョンケアの基本と展望」を聴講しました。

神戸iクリニック院長 仲泊聡先生のご講演でした。

ips細胞網膜移植の話が聞けるかと思ったが、そーゆーことなく、、

面白かったのは

  1. スイフトアイ:カメラで撮影するとAIが解析し、内容をテキストで伝える。
  2. Blindsight:イーロンマスクのNeuroLinkが開発しているデバイス

BBC発「網膜に埋め込んだチップで萎縮性黄斑変性の人が視力を回復した」みたいな話、ききたかったな~

TECNIS PureSee Premium Nightに出席しました。

臨床眼科学会@リーガロイヤルと並行開催でした。
冒頭「SNS公開等まかりならん!」とのお達しあり、詳細は控える。

大鹿 哲郎教授 (筑波大学)

・市場シェアはEDoFが3焦点に追いつきつつあり、早晩逆転するであろう。

Tim Robertson教授(シドニー大学)

・オーストラリアは車社会であり、遠見視力、遠見でのdysphotopsiaの軽減が重視される。アジア圏の近方重視と異なる。
・アイハンスと違ってLogMAR視力≧0.2(≒小数視力0.63)の範囲が広がっていることに大きな意味がある。
・ハログレと明視距離はトレードオフの関係にあり、フリーランチはない。患者さんによく説明し、選択してもらう

ビッセン宮島弘子先生(東京歯科大学水道橋病院)

・トーリックレンズを選ぶ人が多い。
・正視と-0.75Dのモノビジョンの組み合わせにすると近方40cmの視力がよい。
・一眼目はFirst Minusとし、二眼目の度数差は症例によって調整。

質疑&応答
・アイハンスのモノビジョンなら保険適用だが、PuaSeeを選ぶ意義はどこにあるのか?
→Prof.Robertson:オーストラリアでは説明のうえ、患者に選んでもらう。monofocalは大きく入れ替わった。保険体系が日本とは異なる(よーなことを言ってた気がする)
→大鹿先生:両者の加入度数には明確な違いがある。(2.0D vs  0.5~0.75Dと当ブログは考えるが)大鹿先生は66cm vs 120cmといってた。
・ビッセン先生に「アルコンVivityと比べてどうすか?」と、お尋ねしたら「プラットフォームの違いで、好みを選べばいいでしょう」

感想
・前回「中間を膨らませたしただけ」といったが、実にこの中間を膨らませLogMAR視力≧0.2領域を広げた事にこそ意義がある、というね。

 


225/10/20 追記
オーストラリアでは、多焦点レンズが日本のかつての先進医療と同じような扱いであり、わずかな私的保険で多焦点レンズの適用となる。そのため、単焦点レンズが大きく多焦点レンズに置き換わったらしいです。